染まる“ジャパンブルー”

藍染

藍染はタデ藍から作られた徳島県産の「蒅(すくも)」を使用し、発酵建てをして染めます。藍の発酵液はアルカリ性が強く、レザーはアルカリに弱いため、レザー用にアルカリ性を弱めた特別な藍の発酵液を作り染色します。この液は腐りやすく色も淡いので注意を払いながら染色をしなければならず、生地の藍染よりも手間と時間がかかります。近年、クロム鞣しの藍染めレザーは見るようになりましたが、タンニン鞣しのレザーはアルカリ耐性、水耐性が弱く、染めるのが非常に難しいため、タンニン 鞣しの藍染レザーは非常に貴重です。蒅(すくも)とは、乾燥させた藍の葉に水を加えて発酵させたもので、収穫した藍を乾燥させ、手で揉みながら粉砕します。この時に茎やごみを除き、葉のみの 状態にします。粉砕した葉と水をよく混ぜ合わせ発酵させ、約三か月ほどかけて熟成させ、日陰で乾かします。こうして出来た蒅のpHをアルカリ性に調整し、 発酵する工程を「藍建て」と呼びます。このように数々の手の込んだ職人技を重ねることで、味わい深く鮮やかな藍色に出来上がります。

江戸から親しまれる徳島県産の藍

藍染は古来、中国から伝わり、江戸時代には庶民の色として親しまれました。殺菌作用が強く、染めた衣服で皮膚病や毒虫を防ぎました。小上粉、百貫、千本などの様々な品種があり、現在では徳島や宮崎、北海道などで栽培されていますが、年々生産量が減少しています。「te saho」では江戸時代より特上と評された、徳島産の小上粉の藍草を発酵させた蒅を主に使い発酵建てをして染め重ねております。

藍の色素

藍植物には、〔インディカン〕という物質が含まれています。植物の細胞が破壊されると、葉に含まれる酵素の働きにより、インディカンは酸化しやすい物質となり、そうして空気と触れ、酸化したものが、藍色を発色するインディゴ色素になります。
インディゴ色素は水に不溶の顔料です。この水に溶けないインディゴ色素を、酸化還元反応を利用し、アルカリ性の水溶液に可溶な状態にすることを〔藍建て〕といいます。中でも微生物の働きで藍を建てることを〔発酵建て〕、薬品を用いた藍建てを〔化学建て〕といいます。藍建てを行ったアルカリ性水溶液を革に吸着させ、繊維内で再び酸化させることで、インディゴ色素が藍色を発色します。

line up

職人の技術と経験が集結した100%天然本藍染

一般的に流通しているインディゴ染レザーの多くは
合成インディゴや溶剤を用いている為、濃く狙い通りの色に染まりやすくなっております。
te sahoでは、タンニンレザーをベース革とし
その革に藍染(すくも)を使用し100%天然染料で染め上げる正に天然本藍染レザーです。
天然皮革×天然染料のレザーなので、植物の取れた時期により色合いが多少変わります。
しかし、その時にしか出会えない色で正に一期一会で無二の個性溢れるレザーになります。

革を藍染する難しさ

藍染は東京都台東区の工房でタデ藍から作られた徳島県産の「蒅(すくも)」を使用し発酵建てをして染めています。通常藍の発酵液はアルカリ性が強く、レザーはアルカリに弱い為、アルカリを弱めた特別な藍の発酵液を作り染色します。クロム鞣しの藍染レザーは見かけるようになりましたが、タンニン鞣しのレザーは、アルカリ耐性、水耐性が弱く染めるのが非常に難しく貴重な藍染革となっております。

一期一会の色味の調整

「蒅(すくも)」とは、乾燥させた藍の葉に水を加えて発酵させたものです。収穫した藍を乾燥させ、手で揉みながら粉砕します。この時に茎やゴミを除き、葉のみの状態にし、粉砕した葉と水をよく混ぜ合わせ、発酵させます。約一ヶ月ほどかけて熟成させ、日陰で乾かします。こうしてできたスクモに、灰汁や石灰を混ぜ、pHをアルカリ性に調節し、微生物の養分となる〔ふすま〕と呼ばれる小麦の糠や酒、ブドウ糖などを加え、藍建てすることで、藍の染料液ができます。

環境を考慮した染色回数

藍染は染める回数、その日の気候など環境により色の濃度が変わります。縹色(はなだいろ)で約15回、藍色で約25回ほど繰り返し染色します。

  • 1. 藍建て(発酵建て)

    徳島産の「蒅(すくも)」を用いて天然灰汁と石灰、貝灰などでアルカリ調整・発酵建てをし、藍の染料液を作ります(藍建て)。

    ※タデ藍は、日本独特の染料植物(江戸時代に作られたという)で、夏に刈入れをし、藍の葉で一番刈り、二番刈りの葉が染料としては良いといわれています。刈り取った葉を約三ケ月の時間を掛けて発酵させ出来るものが「蒅(すくも)」で、出来上がった後に出来るだけ長く保存していたものが染色に適しているともいわれています。現在では、徳島の阿波藍を作る藍師(阿波藍製造技術保存会)は五軒のみ。藍師が伝統の製法で作りあげた蒅(すくも)を使い天然灰汁発酵建てという伝統的な手法で染液を作ります。

  • 2. 染料液を調整する

    レザー染色用に建てた染料液を調整します。数日間かけ、日本酒などで糖を入れ還元発酵を強め、アルカリを減らしレザーが痛まない程度のpHに調整します。

  • 3. 絞りの模様を作る

    革を水(ぬるま湯)に数日浸し柔らかくした後に柄を施すために絞り作業をします。出来る限り均等に斑柄になる様に丁寧にヒダを作り、革の大きさに合ったカゴに絞った革を紐を使い固定します。革全体に満遍なく模様が入るように考えながら絞ることがポイントです。

  • 4. 染色をする(浸透と酸化)

    染液に漬け込み、藍をよく浸透させます。一通り浸透したら、染料液からとりだし、空気中に触れさせることで酸化させ、発色させます。この工程を、色の濃度や濃淡柄により約10〜30回繰り返し染めていきます。

  • 5. 中和・再鞣し

    染めの合間に栗やミモザなどの植物タンニンを追加して風合いも出していきます。

    ※染める枚数が多いときは、藍建て染液の菌が少なくなり (酵素が少なくなる) 薄くなって酸化してしまうしまうので、再度ふすま(小麦の皮)や糖などを加え温かくし増殖させ何日かかけて染液を整え染色を行う必要があります。染色後も再度革が痛まないように、植物タンニンを溶かした液に漬け込み、タンニンを追加します。

  • 6. 加脂し風合いを整える

    更に大事なのが、革に合った魚(特にタラ)や牛の油を乳化させ水に溶かした液に漬け込むことにより、しっとりした風合いを整えます。

  • 7. 水洗いをする

    流水でよく洗い、表面の余分な藍や灰汁を落とします。

  • 8. 乾燥・風合い出し

    良く揉んだのちに吊り干し乾燥をします。乾燥後は更に揉み込み、油を足して最終的な風合いに整え完成します。

染師

小室 真以人

1983年 福岡で生まれ、東京で暮らす。福岡県朝倉市秋月に越し、家業の草木染工房(工房夢細工)で草木染めに触れる。東京藝術大学美術学部工芸科で染織を専攻。在学中伝統技法を学ぶ傍ら、革の草木染めなどの新しい技術表現を模索。2007年 ホールガーメントニットを導入と技法を習得。2008年 自身のニットブランド「MAITO」をスタート。2010年 株式会社マイトデザインワークス設立。同年、東京都台東区上野の2k540に直営店を出店。2012年 東京都台東区蔵前にアトリエショップをオープン。

ボタニカルレザー®︎

"ボタニカルレザー®"は、化学染料を混ぜる草木染めとは違い、化学染料を使わない、植物だけで染め上げた正真正銘100%の天然染料のみを使用した「草木染め」で革を染めています。それがゆえに環境や人にも優しく独特なやさしい色合いが特徴であります。命ある色を染める草木染めは染料の濃度、工房の外と中の温度差、染めの時間、そして染める革の動かし方など様々な要素が複雑に組み合わさりその色を表すため、同じ染料で染めても色は違ってきます。また、原料となる植物や木は、今日と2週間後、今年と来年に伐ったものでも違います。つまり同じ色に2度と出会うことはないのです。いわば一期一会。それも草木染めの魅力の一つと言えるでしょう。

この革を纏う